サフランの使い方と効能/代用できるスパイスはあるの?

古くから人々の暮らしとともにあったスパイス類の中でも、最も古い歴史をもつといわれるサフラン。 その存在はさまざまな文献や壁画にも描かれ、古代ギリシアでは女神に奉納する衣をサフランで染めたというエピソードをもつなど、どこか古代のロマンを感じさせるスパイスです。


一方現代では、サフランといえば「サフランライス」のイメージしかないという方も多いのでは? 今回は、実は薬として使われてきたサフランの効果・効能と、そのさまざまな使い方についてご紹介していきます!


サフランとは


サフラン(英語:Saffron)とは、西南アジア原産のアヤメ科の植物です。 その歴史は古く、なんと5万年前の絵画からサフランの顔料が見つかっているほか、古代メソポタミアの楔形文字板や古代エジプトのパピルスにもその存在が記されているといいます。

エジプトでは薬、香水、染料として使われ、古代ギリシアではサフランによって得られる鮮やかな黄色は王族だけが使える高貴な色とされていたとか。中庭や風呂に撒いたり、古代ローマでは皇帝が街に入る際に通りに撒いたりしたそうです。

最も高価なスパイスとして有名なサフラン。 それもそのはず、スパイスとしてのサフランはその花の赤い雌しべを集めたもので、1kgのスパイスを得るためには100,000~140,000個の花が必要とされるといいます。

ひとつひとつ丁寧に手摘みされるサフランの雌しべ。ルネサンス期には同じ重さの金と同じ価値があったといわれますが、現在では、産地などにもよりますが1g1,000円ほどの価格で流通しています。


元は薬用だったサフラン



サフランは、4000年以上の栽培の歴史があるとされていますが、最初は薬用目的で栽培されていたようです。 丁宗鐵『スパイス百科』(丸善出版)によれば、主に次のような目的で使われてきたといいます。


  • ・鎮静剤として

  • ・去痰剤として

  • ・媚薬として

  • ・消化不良に

  • ・感冒に

  • ・不眠症に


現代では料理に色をつけるために使われることが多いですが、次のような栄養素を含み、ハーブティーやサプリメントにもなっています。


  • ・ビタミンA

  • ・葉酸

  • ・ビタミンB2

  • ・ナイアシン

  • ・ビタミンC

  • ・銅、カリウム、カルシウム、マンガン、鉄、セレン、マグネシウム


参考:ナンシー・J・ハジェスキー『ハーブ&スパイス大事典』(日経ナショナルジオグラフィック社)

サフランの花について

サフランはアヤメ科クロッカス属の植物。実は日本でもよく栽培されている「クロッカス」の一種です。クロッカスは「ハナサフラン」とも呼ばれています。 一般的なクロッカスとは違い秋咲きですが、薄紫色の花が美しく、日本でも栽培することができます。

なお、見た目と名前が似ている「イヌサフラン」はイヌサフラン科の植物で、猛毒です。行者ニンニクとの誤食で人が亡くなるケースもある危険な植物ですが、サフランとは似て非なる植物で、雌しべも有毒ですので注意してください。

一般的なクロッカスサフランイヌサフラン(有毒)




サフランの使い方

サフランといえばまず思い浮かぶのがサフランライス。 でも、あの雌しべを一体どうやって使うの? …サフランの簡単な使い方と応用法、サフランがない場合の代用法をお教えします。

サフランの使い方



サフランは雌しべをそのまま乾燥させたもの(ホール)と粉末にしたもの(パウダー)の2種類が流通しています。

ホールの場合は、ぬるま湯または水を使って色素を浸出させて使います。料理に使う水やワインを少量取り分け、雌しべを浸しておくことが多いようです。

しばらく待つと雌しべから黄色い色素が溶け、水がうっすらと黄色くなってきますが、1時間以上おいてしっかりと濃い黄色になるまで待ちましょう。長時間浸すほどに色が濃くなります。 (ただし、あまりに長く浸していると香りが飛んでしまいますので、ほどほどに…)

サフランの色素は水溶性なので、油などに入れても色を出すことはできません。 水以外のものに浸出させたい場合は、アルコールや牛乳、お酢や果汁などを使うことができるようです。

パウダーの場合はさっと色が出るので、水で色を浸出させる時間を大幅に短縮することができますが、色素が水に溶け、油に溶けづらいのはホールと同じです。

世界のサフラン料理

世界の代表的なサフラン料理をご紹介します。


パエリア(スペイン) 日本でもおなじみ、スペインのバレンシア地方の郷土料理。 この料理にはサフランが必須ですが、レストランなどであまりにも黄色い色をしているパエリアは、ターメリックなど他のスパイスで炊いている可能性があるそうです。


ブイヤベース(フランス) 玉ねぎとたっぷりの魚介類から出ただしがたまらない、「世界三大スープ」にも数えられるフランスのスープ。サフランの風味が決め手で、使うと本格的な味わいになります。


ミラノ風リゾット(イタリア) ミラノ風リゾットとは、サフランを使ったリゾットのこと。サフランが作る鮮やかな色合いとやさしく香り高い風味が特徴です。


ビリヤニ(インド) スパイスと共に茹でた米とマリネした肉とを重ね、パン生地を使って蓋の隙間を密封して炊くインドのご馳走炊き込みご飯。スパイスの複雑な香りが絡み合うメニューですが、本物のサフランを使うか使わないかで香りが全く違うそうです。

この他にも、スープやシチュー、肉料理、魚料理、卵料理などに使われています。

インドのヨーグルトデザートである「シュリカンド」や、イランのライスプディング「ショレザルド」のように、蜜のような香りを活かしてデザートに使われることもあるようです。

サフランがない場合の代用スパイスは?



世界一高価なスパイスといわれるサフラン。常備している家庭は少ないかもしれませんね。

サフランの代用品として使われることが多いのが「ターメリック」です。 カレーに入れられるスパイスとして有名ですが、このターメリックを使うと鮮やかな黄色を出すことができます。 サフランと違って油に溶ける性質なので、「油に馴染ませる」ことを意識して料理に加えるタイミングを決めてください。ライスを炊く時に加える場合はバターなどと一緒に入れます。

ターメリックは香りも苦みも強いため、サフランの代わりに入れる時は量を加減しないと料理を台無しにしてしまいます。 風味を変えにくい代用品としては、タクアンの発色に使われる「くちなしの実」があります。色素はサフランと同じ「クロシン」という成分で、同じように水に浸して使います。

どちらもサフランの風味はなく、色が似ているというだけですので、本格的な料理を作りたい場合はぜひ本物のサフランを使ってください。

サフランの副作用と妊娠中の使用



サフランは、一般的な料理から摂取する量では安全とされていますが、大量摂取については危険性も指摘されています。 丁宗鐵『スパイス百科』(丸善出版)によると、1日の摂取量としては1.5gまでは副作用が報告されていないようですが、5gを超えると次のような副作用が出るそうです。

  • ・皮膚や粘膜が黄色くなる

  • ・嘔吐

  • ・めまい

  • ・血便

  • ・血尿

  • ・鼻や唇、眼の縁、子宮からの出血

  • ・しびれ感

  • ・尿毒症による衰弱

  • ・血小板減少性紫斑

さらに妊婦さんの摂取でも堕胎作用、子宮収縮作用、通経作用などに注意が必要とのこと。1日10gの使用で堕胎作用を示すという情報もあり、妊娠中は避けた方がよさそうです。 授乳中の摂取も安全性に関する情報がなく、避けた方がよいといわれています。

サフランの効果・効能

サフランは、漢方では蕃紅花(ばんこうか)と呼ばれ、循環器系や月経異常などの治療薬として用いられるれっきとした薬です。 現代の研究で明らかになりつつある効果をご紹介します。

効果1 うつ病の改善効果 ペルシャでは古くからサフランティーがうつ病を治すために使われてきたそうです。ヒトを対象にした研究でも、サフランの摂取により大うつ病性障害患者の症状の軽減が認められています。

効果2 抗酸化効果 サフランの色素配糖体であるクロシンには、フリーラジカル除去活性が報告されています。 動物実験では海馬組織における抗酸化作用が報告され、酸化ストレスとの関連が深いとされているアルツハイマーの症状軽減の可能性も指摘されています。

効果3 PMSの症状軽減効果 サフランには、PMS(月経前症候群)の症状を軽減する効果も。20~45歳までの女性を対象にした実験で、1日30mgのサフラン摂取が頭痛や不安、痛みなどのPMS症状を軽減したという結果がでています。

効果4 媚薬効果 いくつかの研究では、サフランが媚薬効果をもっている可能性も指摘されています。 特に抗うつ剤を摂っている人で、毎日30mgのサフラン摂取が性的機能の改善につながったという結果が出ています。これは男性と女性の両方に対して効果を発揮したそうです。

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