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農作業をする男性

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なぜ、いま「絨毯」なのか?

 

アフガニスタンが位置する西アジアについて、どのようなイメージをお持ちでしょうか?

荒涼とした砂漠、不毛の地、砂埃の舞う街…日本のような潤いのある風景を思い浮かべる方は多くないでしょう。しかしながら、アフガニスタンは、北東から南西へヒンドゥークシュ山脈が横切り、山岳地帯や高地が連なる自然豊かな国なのです。その証拠に、灌漑された耕地での農耕が産業の大部分を占め、中でも、高地特有の寒暖差で育まれた濃厚で甘みの強い良質なフルーツの宝庫なのです。

 

しかしながら、近年の干ばつや長く続いた戦乱、不安定な情勢により、灌漑設備の修復や維持が難しく農耕地が荒廃するなどして、農業の継続は困難を極めています。また、住み慣れた土地を捨て国外に逃れる人々も後を絶ちません。国内外のそのような人々の生計を支えるもの、それが「絨毯織り」なのです。

 

アフガニスタンは、生活の道具として毛織物を織る遊牧民が古くから行き交っていた場所です。絨毯織りはそれら遊牧民の伝統として受け継がれ、ほぼ定住するようになった現在でも、人々の生活に欠かせないものとなっています。

 

さらに、アフガニスタンは、織物に適した羊毛の産地でもあります。絨毯に最もよく使われるカラクル種の羊毛は、耐久性とつやがあります。さらに、毛糸生産の工程の大部分を手作業で行い、慎重に選別しブレンドされたアフガニスタン産毛糸は、絨毯織りに最も理想的なものなのです。

 

以上のように、伝統として洗練された技術を持つ織り手がいること(またそのような織り手から技術を学べる環境であること)、人々の生活に馴染んだものであること、良質な素材の産地であることが、アフガニスタンが絨毯産地となった理由なのです。

 

このようなベースのあるこの国で、近年の不安定な情勢により安定した職につけず生計を立てるすべのない国内外の人々が、絨毯織りに転向することは、当然のことといえるでしょう。

 

加えて、絨毯織りの担い手は、元来、女性たちです。男性たちが働きに出ている間、家を守る女性たちは、家事育児に加えて、生活必需品である絨毯をはじめとした毛織物を織っていたのです。織られた絨毯は、結納品ともなるもので、女性たちの家の格を表すもの、部族の象徴ともなるものでした。その技術は母から娘へ代々伝えられ、洗練されていったことで、現在の素晴らしい絨毯があるのです。

 

特に、現在のアフガニスタンでは、女性や子供たちは弱い立場におかれています。しかしながら、絨毯織りや刺繍といった手工芸に関しては、伝統的に女性が担い手となっているため、女性たちの活躍の場となることは、ごく自然なことととらえられるのです。女性たちが職を身につけ、生計を支え、社会的立場を向上させることのできる唯一の場ともいえるのです。

 

絨毯は、美しいだけではありません。絨毯は、今、アフガニスタンの女性たち、さらには国の未来もかかる重要なものとなりつつあるのです。

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